早川受験情報塾

中学受験と高校受験の専門家が志望校選択を指南します

早稲アカの特訓クラス選抜試験(T選抜)のすべて

 

こんにちは!早川です。

6月といえば、早稲田アカデミーの難関高校志望の生徒にとっては、特訓クラス選抜試験(T選抜試験)の時期ですね!

 

開成、日比谷、筑駒、横浜翠嵐早慶附属、都立西、都立国立

 

ご覧の最上位校の高校を目指す早稲アカの中学生は、とにかくこの特訓クラス選抜試験をくぐり抜けて、特訓クラスに在籍することが大切です。

 

特訓クラスへの入室を希望する生徒はもちろん、現在特訓クラスに在籍している生徒もこの試験を受けてクラスを維持しなければなりません。

6月、9月、11月、1月に実施され、既習の範囲から出題されます。特訓クラスの合格者は、S、A、B、Cと分けられます。

特訓クラス選抜テストの難易度は?

早稲田アカデミーから開成高校筑波大附属駒場高校、日比谷高校の男子最難関全勝を達成して、現在日比谷高校に在学しているS君に聞いてみました。

 

「基本問題は少なく、応用発展問題が中心の出題でした。塾に通い始めた最初は難しくて苦労しました。僕は中1の6月に特訓クラス選抜テストに合格して入室しました。3科目で220点程度で合格しましたが、ボーダーは185点」

 

過去の特訓クラス選抜テストの平均点は、300点満点で180点前後です。つまり6割以上の点数を取ることが一つの目安です。

難度は高めのテストですが、開成や日比谷の受験者に必須といわれる難関高校受験登竜門の駿台模試よりはやさしめです。

 

特訓クラス選抜テストに向けた勉強法は?

特訓クラス選抜テスト突破に向けた勉強は何をすれば良いでしょうか?早稲田アカデミーから慶應義塾女子高校に進学したAさんに聞いてみました。

「レギュラークラスの授業のテキストをすべて解けるようにすることが最低限です。スピードをもって解けるようにしました。先生から選抜テスト対策の教材をいただいて何度も反復しました。」

 

中3になると必勝クラスも設置

中3になると日曜日の特別授業が組まれる必勝クラスが設置されます。絶対に取らねければならない講座ではありませんが、日比谷、開成、早慶附属の合格者の多くがこの講座を取っています。

 

●筑駒必勝クラス(男子のみ)

高校受験の最高レベルの生徒が集結します。第一志望はほぼ全員が筑駒か日比谷です。筑駒志望6割、日比谷志望4割という感じ。日比谷第一志望の生徒は「開成・筑駒・日比谷」の男子最難関全勝を目指す神々です。開成第一志望はほぼいなくて併願校扱いです。

 

●開成必勝(男子のみ)

高校受験の男子5科上位層が集まります。名前は「開成必勝」なので、2月10日に開成高校を受験するのが原則ですが、第一志望は日比谷高校が最も多いようです。筑駒、都立西、筑附、渋幕が第一志望の生徒もいます。

 

●国立必勝

女子も含めた5科目の都立トップ校志望者が集まります。日比谷、都立西、都立国立を第一志望にして、2月13日に学芸大附属、筑波大附属、お茶の水女子大附属を併願で合格することが目標です。

 

早慶必勝

3科の上位層が集まります。早稲田実業慶應義塾慶應志木、慶応女子、早大本庄、早稲田高等学院といった早慶附属が第一志望の生徒がメインです。早慶必勝選抜クラスなら早慶全勝が目標。早慶必勝クラスなら1校以上の合格を目指します。また都立難関高校第一志望で、早慶附属を併願する生徒も在籍します。

 

●難関必勝

3科の中堅層が集まります。メインは都立2番手難関校(青山・戸山・立川・八王子東・新宿)やMARCH附属です。早慶必勝に学力的に入れなかった生徒が難関必勝クラスに在籍したりもしますが合格率は概して厳しいです。

 

 

筑波大学附属中学校の報告書(内申点)が満点必須の理由

筑波大学附属中学校の報告書はブラックボックス!?

こんにちは!早川です。

今回は筑波大学附属中学校の報告書(内申点)についての情報です。

渋渋、小石川と並ぶ中学受験の共学難関校ですが、中学入試はその不透明さから、第一志望にするには勇気のいる学校です。

 

「塾内で偏差値がかなり上の安全圏の子が不合格になり、偏差値が達しない子が合格した」

「報告書で足切りをしているとしか思われない事例がある」

 

といった筑附の中学入試に関する書き込みがたくさん見られます。こういった情報はデマなのでしょうか?

また報告書は満点が必須と言われていますが、どうなのでしょうか。

筑附の報告書の比重はかなり高い! 実技が満点でないなら受験再考も

筑波大学附属中学校の募集要項の概要から報告書に関する記述を見てみます。

・第6学年(2学期末まで)について記入する

・欠席日数が10日以上の場合は必ず理由を記入する

・評定は3段階(上位から3・2・1)とする。報告書点は国語/社会/算数/理科を各3点、音楽/図画工作/家庭/体育/外国語を各3点✕2倍の合計42点満点とする。

・「学校内外の活動の記録」について第6学年のときの活動、地域での参加団体、ピアノ、水泳などの趣味、特技を記入する

・「行動の記録」について、掲げられた項目ごとに十分満足できる状況にあると判断される場合は評価の欄に○をする。○の数を記入する

・「所見」の欄には、行動の状況について総合的に見た児童及び指導上留意すべき事項を記入する

・学力検査得点と報告書点の合計点及び報告書の内容を総合的に判断して合否判定を行う

報告書の比重がかなり高めです。およそ4分の1が報告書の評定です。さらに実技科目を2倍で換算するので、実技が苦手な子は極端に不利になります。

 

筑波大学附属中学校は、実技も器用にこなせるパーフェクトな子を求めています

 

という中学校側の明確なメッセージです。説明会でもしっかりとその点が強調されていました。競合校と比較すると、渋渋は報告書提出がありませんし、小石川は報告書の差が実質ほとんどつかない仕組みになっているのは有名な話です。小石川の先生は「実技が苦手でも大丈夫です。何か一つ誇れる強みを持っていると良いですね。」と話されています。

小石川はオタクな子、得意や不得意の差があっても何か一つに強みを持つ子(算数だけは負けないとか、生物オタクとか)に向いている学校です。筑附はそういうデコボコな子には不向きで、どんな科目でも平均的に優秀にできる子を求めています。強い個性を持っている子は小石川向き、平均的に優秀な子は筑附に向いていますね。

塾別説明会の情報では、筑波大学附属中学校の合格者の大多数は実技も含めて報告書はパーウェクト、満点です。筑波大学附属中学校の受験生は、報告書が満点でないと一気に不利になります。

実技にも一切手を抜かず平均的に優秀な子という筑附が求めている生徒像とまさに一致しています。実技がイマイチだったり報告書のデコボコが大きい子でも普通に合格している小石川とは対照的で面白いですね。

厳しい言い方ですが、実技の報告書でオール満点が取れないようなら、筑附の求めている生徒像とは異なるかもしれないと考えたほうが良さそうです。

筑波大学附属中学校は、教育実習生の授業や研究授業が多いため、実技科目も含めて極端な苦手科目のある生徒に入学されると学校側も困ります。国立附属の学校運営に適った子に入学してもらうことを何よりも大切に考えています。

 

「行動の記録」が良くないと、報告書満点&高得点でも不合格!

筑波大学附属中学校の募集要項にはこう書かれています。

学力検査得点と報告書点の合計点及び報告書の内容を総合的に判断して合否判定を行う

えっ? 入試得点と報告書点だけでないの?

そうなんです。この「報告書の内容」こそが筑波大学附属中学校の入試の難しさで、これを攻略しないと、学力検査と報告書点が満点でも不合格になります。

報告書の内容で大切なのは「活動の記録」です。以下の項目が点数化されています。

 

・基本的な生活習慣

・健康・体力の向上

・自主・自律

・責任感

・創意工夫

・思いやり・協力

・生命尊重・自然愛護

・勤労・奉仕

・公正・公平

・公共心・公徳心

 

ビックリでしょう? これが筑波大学附属中学校の入試の特殊性です。学力ではないのです。教育実習生の授業と文科省の研究授業に耐えられる健康で従順な模範的な子が欲しいのです。

これらはすべて小学校の先生が校長先生の確認のもと書きます。各項目に「○」をつけるようになっていて、この「○」の数がいくつあるのかを書き込む欄があります。

 

報告書、入試得点が素晴らしくても、責任感のない子は不合格になります。

報告書、入試得点が素晴らしくても、思いやりのない子は不合格になります。

報告書、入試得点が素晴らしくても、公正・公平の精神のない子は不合格になります。

 

この項目もかなりの比重を占めているようです。入試要項には「総合的に判断」とぼやかしているので、どれかの項目を重視している可能性もあります。○の数が8個未満は足切りしている可能性もあります。説明会でも一切教えてはくれません。

偏差値や報告書点数で合格有望と見られた受験生の不合格が出てしまうのは、この項目が足りてないからと見られます。

 

筑波大学附属中学校の合格は、小学校の先生からのパーフェクトな評価必須

ここまでをまとめますと、筑波大学附属中学校で必要なのは次の三要素です。

・満点前提の報告書 (実技は2倍なので要注意)

・責任感や思いやりを小学校生活でしっかりアピールすること

・国語、算数、理科、社会の高いレベルの学力

 

この三要素のどれが欠けても筑附の合格はおぼつきません。

小学校の報告書は担任の先生との相性がすべてです。特に責任感や思いやりを持っているかどうかは、先生の主観的な判断となりますのでなおさら相性が大切です。

当然、小学校生活よりも塾を優先するような子を筑附は求めていません。

(もっとも、入学後はみんな塾通いをして、授業中に内職している子も多いようですが笑)

 

筑波大学附属中学校の合格は、小学校の先生からのパーフェクトな評価必須

「報告書に自信がない・・・」

「体育の実技科目がすごく苦手で・・・」

「小学校の先生との相性に不安がある・・・」

「うちの子はアピール下手で、責任感や公正さを評価されないかも・・・」

 

こういう子の志望校はどうすればいいでしょうか。筑附の求めている生徒像ではないので、やはり志望校を考えてあげたほうが良いでしょう。

悩む学校はほぼ渋渋(渋谷教育学園渋谷中学校)か小石川(東京都立小石川中等教育学校)の2校です。

この2校は報告書を気にする必要はあまりなく、筆記試験の得点でしっかりと合否が決まる明瞭さがあります。

 

●渋渋

渋谷の一等地に立地するニューウェーブ校で、帰国子女の比率が高く、帰国子女を中心とする外国語教育には非常に定評があります。自調自考が教育理念で、自分達で考えて自分たちで様々な活動を企画します。芸術大や海外大進学者も多いのが特徴です。女子の強い学校文化で、東大合格者も女子生徒の方が多い珍しい学校です。校庭がなので運動が好きな子には不向きとも言われます。

 

●小石川

大正時代に初代校長、伊藤長七先生が「立志・開拓・創作」の理念のもと「科学者を育てる」ことを目的に創立した理化学教育の名門校です。卒業生には数学のノーベル賞であるフィールズ賞受賞者など大学教授や研究者が多く、数学研究会、化学研究会、物理研究会といった理数系部活動のメッカです。理科の授業は中1より専門分野に分かれ多くを実験と考察に費やします。3年次は全員がオーストラリに留学するなど国際教育の伝統もあります。特定分野に強い才能を持つ子が多く、自主的に探究活動を行う校風のため、学力が高くても受け身の生徒には不向きです。